「葬儀は本当に必要?」
「どんな意味があるの?」
「火葬だけで、葬儀はやらなくても良いの?」
そんな疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。
「葬儀」とは、僧侶による読経や焼香など宗教的な儀式を指します。
昨今では、葬儀形式も多様化し、火葬のみのシンプルな「直葬」を行う方も多いです。
しかし、葬儀は単に故人を見送る場ではなくご遺族の心を癒やし、社会的なつながりを確認するなど、さまざまな大切な役割を果たしています。
この記事では、葬儀を執り行う意味や役割、さらに葬儀業界で働くことの意義や、やりがいについてもご紹介いたします。
葬儀への知識や理解を深めたい方は、ぜひ最後までお読みください。
葬儀には大きく分けて4つの意味があり、それぞれ異なる役割を持ちます。
以下に、特に重要な意味を持つ順にご紹介いたします。
葬儀は大切な人との最期の時間を過ごし、「ありがとう」「おつかれさま」そんな言葉を直接伝えることができる、大切な場です。
ご遺族や参列者は、故人との思い出を語り合いながら、その人生を振り返ります。
故人が好きだった音楽を流したり、思い出の品を飾ったり、お別れの言葉や手紙を棺に添えるなど、故人へのさまざまな想いを形にすることも多いです。
葬儀は単なる「儀式」ではなく、かけがえのない大切な故人と向き合い、感謝の気持ちを伝え、故人の人生を振り返ることで、ご遺族や参列者も新たな一歩を踏み出すことができます。
大切な人を失う悲しみは、簡単に受け入れられるものではありません。
「まだ信じられない」「いなくなったなんて思えない」
そんな気持ちの中で、現実と向き合うことはとてもつらいものです。
葬儀の場を通じて、
「みんなで見送った」
「たくさんの人に愛されていた」
と実感することで、少しずつ気持ちの整理がついていきます。
また、周囲の人々と悲しみを分かち合うことで、孤独を感じずに済むのも、葬儀の大きな役割のひとつです。
葬儀は故人を弔い、心の整理を付けるだけでなく、
「この人は、確かにここに生きていた」
ということを、社会に伝える大切な場でもあります。正式なお別れの場がないと、後々になって「知らなかった」「ちゃんとお別れしたかった」と思う人も出てくることがあります。
「葬儀」として故人の死を関係者に周知することで、会社や相続など社会的な手続きをスムーズに進め、ご遺族の負担を軽減できます。
葬儀を挙げず、火葬のみなど直葬を行った場合は、親族から批判を受ける、お寺から納骨を拒否されるなど、後々のトラブルにも発展しかねません。
そのため、葬儀には感情的な側面だけでなく社会的な意味もあることも、心に留めておきましょう。
最近では、家族葬の増加やコロナ禍の影響で、子どもたちがお葬式に参列する機会が減っています。
しかし、お葬式は、「命とは何か」を学ぶ大切な機会でもあります。
「人はいつか旅立つ」
「だからこそ、今を大切に生きることが大事」
お葬式を通じて、子どもたちはこうした大切なことを知ることができます。
もちろん、小さなお子さんが悲しんだり、参列することをためらうご家族もいらっしゃるかもしれません。
でも、もし故人と深い絆があったなら、お葬式に参列することで、
「ありがとう」を伝えられた
「また会おうね」と思えた
そんな温かい気持ちを抱くこともあるでしょう。
お葬式は、子どもたちにとって、大切な学びの場になるのです。
「葬儀」と「葬式」、「通夜」と「告別式」の言葉は、しばしば混同して使われますが、それぞれ異なる意味を持っています。
言葉の意味と違いを理解し、葬儀への知識を深めていきましょう。
通夜 | 葬儀の前日、故人と最期の夜を過ごし別れを偲ぶ儀式 |
葬儀 | 故人を見送るための宗教的な儀式 |
葬式 | 通夜・葬儀・告別式も合わせた一連の儀式の総称 |
告別式 | ご遺族や参列者が故人と最期の別れをする儀式 |
「葬儀」と「葬式」は同じ意味で使われることが多いですが、葬儀は宗教的な儀式を指します。
たとえば、読経や焼香など、宗教的な儀式を行う場は葬儀となります。
一方の葬式は、葬儀や告別式も含めた、故人を見送るための総称の言葉です。
葬式は儀式全体を指す広義の言葉で、葬儀は葬式で行われる一部の宗教的な儀式を指す言葉ということになります。
葬儀は前述したように、宗教的な儀式を指します。
通夜は、葬儀の前夜に故人と最期の夜を共に過ごす儀式です。遺族や親しい人々が集まり、故人を偲び、思い出を語り合います。
通夜は、もともと「夜伽(よとぎ)」と呼ばれ、灯と線香の火を絶やさずに故人の冥福を祈る儀式でした。
現代では2〜3時間程度で終わる「半通夜」が主流です。
告別式は、参列者が故人と最期の別れを告げる儀式です。葬儀が宗教的な儀式であるのに対し、告別式は社会的な意味合いが強くなります。
そのため、本来は葬儀が終了した後に僧侶が退席し、改めて告別式が開始されますが、現代では葬儀とまとめて行うことが多いです。
告別式では、ご遺族や参列者は故人の棺に花を手向け、別れを告げます。故人にお別れの言葉を贈る「弔辞」も告別式のタイミングで読まれることが多いです。
近年、葬儀を挙げない「直葬」を選択する人が増えています。確かに、葬儀は参列者が多い程、費用が高額になり準備も大変です。
しかし、葬儀を挙げないことで生じるデメリットもあります。後悔や余計なトラブルを避けるためにも、以下4つのデメリットを事前に知っておきましょう。
葬儀は、故人と別れを告げ、ご遺族の心の整理をつけるための大切な儀式です。
葬儀を挙げず火葬のみで済ませてしまうと、
「本当にこれで良かったのかな?」
「もっとしっかり見送るべきだったのでは…」
「火葬後にイヤな事が起きるのは、葬儀を挙げなかったからでは…」
など、何年も経ってから後悔や不安を感じる方も少なくありません。
一時的な感情で決めるのではなく、故人やご遺族にとって最適な形でのお別れを検討することが大切です。
葬儀は故人や家族のためだけの儀式ではなく、社会的な意味も持ちます。
特に年配の親族や伝統を重んじる親族がいる場合は、葬儀を省略すると「非常識だ」と批判を受ける可能性も考慮しておきましょう。
また、友人や会社関係者など、故人と関わりのあった方々にとっては、葬儀を挙げないことで最期のお別れの場を失うことになります。
「最期に顔を見ておきたかった」「お別れを言いたかった」など不満を持たれ、その後の人間関係にひびが入るケースも考えられます。
後々のトラブルを避けるためにも、関係者へは事前に説明をしておくか、最低限のお別れの場を設けることが望ましいでしょう。
葬儀を行わなかった場合でも、故人の死を知った方達から「お線香をあげたい」「直接お悔やみを伝えたい」という申し出があれば、対応しなければいけません。
その際は、個別に自宅で弔問を受け入れることになるため、ご遺族が対応に追われる可能性があります。
実際、
「火葬後、一ヶ月以上、毎日のように弔問が続き休む暇が無かった」
「葬儀を挙げておけば良かった」
と体調を崩されたり、後悔される方も多いです。
葬儀を行うことで、一度に多くの弔問客を迎え、故人を見送る機会を設けることができます。
寺院や霊園によっては、葬儀を行っていない場合、納骨を拒否されることがあります。
厳しい所ですと、同じ宗派の読経以外は納骨を認めていないお寺もあるほどです。
お寺から納骨を拒否されたため、再度、読経のみをやり直しした方もいらっしゃいます。
納骨を拒否された場合、別の納骨方法やお墓を探さなければならないため、余計な手間やお金がかかってしまいます。
そのため、直葬でも納骨が可能かは、事前に必ずお寺や霊園に確認しておきましょう。
葬儀業界で働くことは、亡くなった方を送り出すだけの仕事ではありません。
以下に、葬儀業界で働く意義や、やりがいについて3つご紹介します。
葬儀業界で働く最大の意義は、故人の最期の時間に寄り添い、その旅立ちを支えられることです。
たとえば、生前に好きだった音楽を流したり、思い出の写真を飾ったりと、故人のお人柄が分かる心のこもったお別れの場を作る手伝いや提案もできます。
以前、看護師をされていた方が、葬儀業界に転職した理由として「亡くなったその先も、サポートできる仕事がしたかった」と仰っていました。
葬儀業界で働くことは、故人の人生に敬意を払い最期をしっかりと見送るための大切な役割を担うことができます。
また、葬儀は故人を見送る場であると同時に、遺されたご遺族が悲しみを乗り越え、前へ進むための大切な場所でもあります。
深い悲しみの中にいるご遺族に寄り添い、安心して葬儀を執り行えるようサポートすることは、葬儀業界で働く大きな意義の一つです。
特に初めて喪主を務める方や、突然の別れに直面したご遺族は、何をどうすればよいかわからず、不安を抱えていることがほとんどです。
そんな時、適切なアドバイスをしながら寄り添うことで、ご遺族は安心し「〇〇さんがいてくれてよかった」「心強かった」と感謝の言葉をいただくことも少なくありません。
喪失感を抱えるご遺族の心の支えになれることも、葬儀業界で働く大きなやりがいと言えるでしょう。
現在の日本は、かねてから懸念されていた2025年問題を迎え、国民の5人に1人が75歳以上になる超高齢社会に突入しています。
厚生労働省のデータによると、2024年時点で65歳以上の高齢者は全人口の約30%を占めており、2040年には死亡者数が年間168万人を超えると推定されます。
特に労働者不足の問題は深刻で、死者数が増加するなか労働人口は年々減少の一途をたどっています。
葬儀業界で働くことは、高齢化社会を支える重要な仕事であり、今後も安定した需要が見込まれる職種でもあります。
社会的に必要とされる点も、葬儀業界で働く大きな魅力と言えるでしょう。
葬儀の意味や役割、葬儀業界で働くことの意味について解説しました。
葬儀は決して「やらなくてもいいもの」ではありません。
それは、大切な人への最後の贈り物であり、残された人の心を癒す場でもあるからです。
・大切な人へ「ありがとう」を伝える時間
・心の整理をつけ、前を向くきっかけ
・亡くなった方の人生を皆で振り返る温かい場
「葬儀って、本当はどんな意味があるんだろう?」
そう考えたときに、少しでもこの記事が参考になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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