「葬儀の仕事や葬儀屋に興味があるけど、女性でも働けるか不安…」
「葬儀業界での女性の働き方について知りたい」
「女性でも就職や転職はしやすい?」
葬儀業界で働きたいけれど、精神・体力的な心配や勤務形態が気になり、本当に続けられるのか不安に感じる方もいらっしゃいます。
結論として、女性が葬儀スタッフとして働くことに何の問題もありません。
そもそも葬儀屋は、大きな悲しみのなかにいるご遺族をサポートし、故人を穏やかにお見送りするのが仕事です。
そのため、共感性や気遣いなど女性ならではのスキルを活かすことで、十分活躍する機会を持てるでしょう。
本記事では、葬祭業界への就職・転職を考えている女性を対象に、働き方や勤務形態、年収や将来性についてもくわしくご紹介しています。
葬儀屋とは、ご家族が亡くなった後の搬送から最後の葬儀まで一貫して行う会社や所属するスタッフのことです。葬儀屋のスタッフは、「セレモニースタッフ」とも呼ばれます。
葬儀を執り行うだけでなく、喪失感をお持ちのご遺族の精神的なサポートをするのも葬儀屋の大切な役割です。
一昔前は、葬儀屋のスタッフは男性中心のイメージがありましたが、昨今は多くの女性が活躍しています。
実際、葬儀業界専門の人材サイトで検索すると、応募要件に性別の条件はありません。掲載している会社紹介の写真でも、女性が含まれていることがほとんどです。
女性葬儀スタッフとして働いた際、仕事内容や勤務形態は会社の方針によって男性と異なる場合があります。
さらに、他の接客業と同様に、服装やメイクなど女性特有の気遣いも必要になるでしょう。
葬儀屋の仕事は多岐に及び複数人で対応することがほとんどです。そのため、一人ですべて行うのではなく、適材適所に応じた役割を持ち、協力しながら業務を進めていきます。
【葬儀屋の仕事内容】
流れ | 内容 |
---|---|
1.葬儀の依頼を受ける | ご遺族から連絡を受け、病院や施設に故人をお迎えに。搬送車の手配やご遺体の状態を保持するため、ドライアイスも用意します。 |
2.ご遺体の搬送と安置 | 搬送後は、ご遺族の希望に応じて自宅や葬儀屋の施設に安置します。必要に応じてお供え物の準備も必要です。 |
3.ご遺族とのお葬式の打ち合わせ | 安置後は、ご遺族と日取りやどのようなお葬式にするか打ち合わせを行います。 プランの提案や見積作成、式場や火葬場の確保の他、祭壇に飾るお花や料理、香典返しの手配も行うのも葬儀屋の仕事です。 |
4.お通夜の手配と進行 | 会場の設置やご遺体の納棺、お通夜の準備を行います。葬儀屋のスタッフが進行の司会も務めるのが一般的です。 |
5.葬儀・告別式の手配と進行 | 通常、お通夜の翌日が葬儀・告別式です。会場の設置や弔問客のご案内など、お通夜と同様に全体の進行をサポートします。 |
6.ご遺族へのアフターフォロー | 葬儀後も、仏壇の手配や喪中ハガキの作成などご遺族へのアフターフォローを行います。 |
たとえば、ご遺体の搬送や納棺、斎場の設営など力仕事であれば男性スタッフを中心に、ご遺族との打ち合わせや見積もり作成などは女性スタッフが行うなど、分担しながら行います。
会社によっては人員や方針によって仕事内容が変わるケースがあります。体力や力仕事に抵抗がある場合は、就業前に業務内容をしっかりと確認しておきましょう。
会社の規定や方針にもよりますが、葬儀屋の勤務形態は、夜勤や日勤を含む24時間365日のシフト体制であることがほとんどです。
人はいつ・どの時間帯にお亡くなりになるかは予測不可能なため、深夜や休日であってもすぐに対応する必要があります。
特に、小さなお子さまがいらっしゃるご家庭では、保育園や学童が閉まっている深夜や休日の時間帯での預け先が必要です。
希望する勤務日時を、平日のみや深夜・早朝を除くなど、しっかりと要望を伝えておき、ご家庭でも働き方について認識をすり合わせておくことをおすすめします。
また、出産での育児休暇がしっかりと取れる会社なのか、福利厚生が充実しているかの確認や、実際にどのくらいの女性が復職しているのかも合わせて確認しておくと、より安心して働けるでしょう。
葬儀は、故人とご遺族の大切なお別れの場です。故人とご遺族に常に敬意を持ち、雰囲気を壊さないためにも、服装やメイクには十分、配慮する必要があります。
そのため黒を基調とした落ち着いた服装と、シンプルなメイクやアクセサリーを選択するようにしましょう。また、会社にもよりますが、制服や靴は支給されることが多いです。
【女性葬儀スタッフに相応しい服装・メイク】
服 | 黒を基調とし、灰色や紺などシンプルな色合いに。 立ち仕事になるため、動きやすいパンツスタイルがおすすめです。 |
靴 | 服と同様に、黒色の目立たない色がおすすめです。動き回ることが予想される場合は、ヒールは低いものを選びましょう。 |
髪色 | 派手な髪色は避け、落ち着いた自然な色を意識しましょう。 |
髪型 | 長い場合は、シンプルな黒のゴムで結びます。華美な装飾が付いた素材の髪留めは避けましょう。 |
アクセサリー | シンプルな結婚指輪以外のアクセサリーは、すべて外すようにしましょう。 |
メイク | ナチュラルメイクを心掛け、目立たない控えめなメイクにします。特に、口紅やアイメイクは派手に見えないように注意が必要です。 |
葬儀の仕事は力仕事だけでなく、ご遺族への対応や精神的なサポートも重要な役割となるでしょう。葬儀屋に女性が向いている理由と実例をご紹介いたします。
ご遺族が女性だった場合、経験や感情が似ているため、男性スタッフよりも女性スタッフの方が共感を持たれやすい傾向があります。
たとえば、ご家族を亡くされ喪失感を抱えるご遺族の女性のなかには、男性スタッフに心の内や現在の悩みを話すのに抵抗のある方もいますが、同姓であれば心情を吐露しやすいでしょう。
特に納棺前に行うラストメイクなどは、女性が得意とする分野ですね。
故人との最後のお別れの場である葬儀は、やり直しの効かない場です。女性ならではの気配りや心遣いは、ご遺族や参列者の大きな支えとなるでしょう。
女性の参列者のストッキングが伝染してしまったり、スカートにほつれや破れがあったりした場合も女性スタッフが気が付き、さりげなく声掛けをすることもできます。
他にも、事前にご遺族からお聞きしていた故人がお好きだった食べ物を祭壇にお供えしたところ大変喜ばれたなど、女性ならではのエピソードもあります。
葬儀はご遺族はもちろん参列者の方たちも、感情が高ぶりやすく緊張してしまう場です。女性スタッフの柔らかな雰囲気で葬儀の場を穏やかにすることができるでしょう。
実際に、葬儀への参列経験が少なく、どうしたら良いか分からなく不安に感じている参列者へ、やさしい口調で声掛けやご案内をし感謝されたなどの事例もあります。
葬儀屋はやりがいのある仕事ですが、女性が働くなかで大変に感じるポイントもいくつかあります。
葬儀屋の仕事は、想像以上に体力が必要になる場面も多いです。
葬儀の準備や片付けで、供花や祭壇など重いものを持ち上げる、エレベーターのないアパートの3階からご遺体を運ぶなど、体力がない女性にはキツイと感じる業務もあります。
葬儀中は立ちっぱなしとなり、休む暇もなく動き回るケースもあるでしょう。
役割分担がきちんとできている会社であれば、女性が力仕事を任せられる場面は少ない可能性もあります。
もうひとつは、葬儀屋の業務が24時間365日対応しなければいけない、非常に不規則な勤務形態であることです。
日中だけでなく、早朝や夜間、休日も葬儀が入る可能性があるため、睡眠時間の確保や家族やプライベートの時間がとれないケースや、不規則な生活に慣れず体調を崩してしまう人もいます。
心配な場合は、無理なく働けるように柔軟にシフトを調整でき、かつ人手が足りている葬儀社を希望するのがおすすめです。
昨今では少なくなりましたが、葬儀業界に限らず打ち合わせや商談は「男性が行う」ものと考える方もいらっしゃいます。
特に葬儀の喪主を務めるご遺族は、高齢の方が多いです。そのため「女性で本当に大丈夫なのかな?」と不安に感じてしまう方もいらっしゃいます。
しかし、経験豊富な女性スタッフが柔らかい物腰で丁寧に対応することで信頼感を持ち、安心して任せて頂けるでしょう。
実際、ある葬儀社では女性スタッフの方が男性スタッフよりもクレームが少ないという統計もあるほどです。
厚生労働省が調査した「令和4年度賃金構造基本統計調査」によると、葬儀屋の平均年収は、382万円程です。内訳は、月々の給与が約26万。年間賞与や手当が約45万付きます。
ただし、上記統計は冠婚葬祭業をまとめた「その他のサービス職業従事者」の平均値です。そのため、勤続年数や実績、在籍する葬儀会社によって異なるケースもあります。
前述したように、多くの葬儀社では業務は分担して行われますので、女性と男性で変わらないことがほとんどです。
女性が葬儀業界で働こうとしたとき、経験は必ずしも必要ではありません。実際、葬儀に関わる就職・転職情報をみると、未経験者でも応募可能な求人はたくさんあります。
とはいえ、葬儀業界は人の死に向き合わなければいけない大変デリケートな職種のため、誰でも務まるわけでもありません。
大切なご家族を亡くされ喪失状態のご遺族に心から寄り添うことはもちろん、葬儀マナーやさまざまな宗教や風習についての知識も学ぶ必要があります。
そのため、転職や就職活動をする際は、共感能力やコミュニケーションスキルの高さなどをアピールするのがおすすめです。
特に葬儀業界が未経験の方は今後、葬儀について学ぶ意欲があることも伝えると、より好感度が増すでしょう。
女性葬儀スタッフの将来性は、日本の人口構造の変化と社会のニーズの多様化を考えると非常に高いと言えるでしょう。
実際、上記グラフからも、2060年には総人口が9,000万人まで減少。65歳以上の高齢者は40%にまで増加すると予想されています。
人口減少と共に葬儀需要も高まり、家族葬や火葬式など小規模な葬儀やサービスの多様化が求められていく可能性が高いです。
さまざまな葬儀形態のニーズに対応するためにも、細やかな気配りや心遣いができる女性葬儀屋の需要はますます増加していくと予想されます。
本記事では、女性葬儀スタッフの働き方や向いている・大変と感じる理由から年収、就職や転職する際のポイントや将来性についてご紹介しました。
出口の見えない超高齢化社会が続く現在、葬儀屋の需要はますます高まることが予想されます。
葬儀屋は力仕事だけでなく適材適所で分担して働くため、男性・女性と性別に関係なく務まる仕事です。
勤務形態は夜間や休日勤務も含めたシフト制であることが多いため、小さなお子様がいらっしゃるなど、ご家庭の環境によっては事前に就労先やご家庭との調整が必要になるでしょう。
葬儀屋は、ご遺族と故人の最期のお別れの場である葬儀を執り行う大切な役割を担う仕事です。
ご遺体の搬送や祭壇の設置や人の死と真正面から向き合うなど、肉体的・精神的にも大変な側面もありますが、ご遺族から心から感謝されるやりがいのある仕事でもあります。
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