「相続診断士の資格取得を迷っている…」
「資格は難しい?どのくらいの勉強が必要?」
「相続診断士の求人は多い?需要や将来性は?」
相続に関する手続きや問題は非常に複雑で、専門的な知識を持たずに対処するのは大変なことです。適切な対応ができずに大切な財産を無駄にしてしまうこともあります。
そんなときに頼れる専門家として、的確なアドバイスをするのが相続診断士です。
相続診断士は、相続の基礎から税金、不動産についてまで幅広い知識を持ち相続診断や専門家への橋渡しをしてくれます。相続診断士の資格を持つことで、金融機関、不動産、葬儀業界など相続に関連する職種で活躍することができるでしょう。
本記事では、相続診断士の役割から業務内容、資格取得方法と難易度や求人の需要まで分かりやすくご紹介いたします。
相続診断士についての知識が本記事を読むことですべて理解することができますので、ぜひ最後までお読みください。
相続診断士とは、相続に関連する悩みや不安を持つ人に相続診断を行い的確なアドバイスをする専門家のことです。そのため、相続診断士は相続についての基礎と幅広い知識を持つ必要があります。
一般財団法人 相続診断協会が認定する相続診断士資格試験に合格すると「相続診断士」と名乗ることができます。また相続診断士の試験は、国家資格ではなく民間資格です。
相続診断士の役割は、相続がスムーズに進むようにサポートすることです。相続トラブルが発生しそうな場合は、事前に税理士、司法書士、行政書士、弁護士などの専門家と連携し、問題の早期解決を目指します。
相続診断士が行える主な業務内容は下記の3つです。
【相続診断】
相談者から家族構成や所有財産についてヒアリングを行い、情報を基に相続診断を行い結果をグラフで表示し、危険度や緊急度ランクの点数やアドバイスも記載します。
本来、相続診断を行うのに特別な資格は必要ありませんが、生命保険や不動産、金融など多方面の知識を持った相続診断士であれば、より詳細で正確な相続診断が行えるでしょう。
【専門家との連携】
相続トラブルに発展しそうな場合は、早期に弁護士や税理士などの専門家に相談し、問題の早期解決を図ります。
相談内容を正しく把握し「いつ、どの専門家に、どんな依頼をするか?」を判断し、相談者へ提案することができます。
相続診断士自身が、弁護士のように紛争解決に動くことはできません。あくまで相談者と専門家が円滑に繋がるための橋渡し役を務めます。
【啓蒙(けいもう)活動】
一般の方たちへ相続についての理解や意識を向上させる啓蒙活動も、相続診断士の仕事です。
たとえば、エンディングノートや遺言書の作成方法などを指導し、相続がスムーズにいく準備を提案します。
相続についての知識を深めることは、ご自身はもちろんご家族や親族、お客様に対して相続について適切な行動やアドバイスができるようになります。
たとえば、ご自身やご家族で相続が発生した場合、遺産の分配方法や相続税が必要になる財産の確認なども的確に行うことが可能です。
また、現状の職業が保険業務や金融機関であれば、お客様に生前贈与や相続対策の情報を含めて説明が行えます。
相続診断士として就労する場合、下記のような業界で相続の知識を活かすことができるでしょう。
【金融機関】
銀行や保険会社など金融機関でも、適切なアドバイスやサポートを行えます。
たとえば、銀行であれば、相続や資産管理についての相談に、保険会社であれば生前対策や相続対策として保険を活用する方法を提案できるので、お客様からの信頼にも繋がる可能性が大きいです。
【不動産業界】
相続が発生すると、家や土地など不動産の遺産分配や売却が必要になるケースが多いです。相談者が不利益を被らないように、税法についても正しくアドバイスできます。
【葬儀業界】
相続は人が亡くなると発生します。そのため、葬儀社がアフターサービスとして相続相談も提供しているケースも少なくありません。
葬儀のご依頼と同時に相続相談を受けた際は、適切な専門家への案内を行うことができます。
相続診断士の試験に合格すると、協会から多くのサポートを受けることができ活躍の場を広げることができます。
具体的には、相続診断士セミナーや講師養成講座の受講、相続診断チェックシートやインタビューを記載した笑顔相続新聞のバックナンバーの閲覧、名刺やプロフィールに相続診断士マークを付けることが可能です。
他にも個人で相続診断士として活動する場合は、協会の公式HPから上級相続診断士として名前や顔写真、経歴書や連絡先も検索表示できるため、顧客獲得にも活用できる仕組みになっています。
相続診断士は、一般財団法人 相続診断協会が認定する民間資格です。
相続診断士試験には、相続診断士と上級相続診断士の2種類あります。上級相続診断士の方が、より幅広い相続についての知識を問われます。
どちらの試験も受験資格は設けられていないため、上級相続診断士の試験から挑戦することも可能です。
試験方法は、CBT(Computer Based Testing)方式を採用しており、全国260箇所以上(※2024年5月現在)の場所から、希望の時間帯に試験を受けられます。
WEBからの申し込み後、テキストと動画のIDが協会から送られてくるので、学習を行います。
相続診断士 | 上級相続診断士 | |
試験内容 | 全60問 ・コンプライアンス ・相続法 ・相続税 ・法定相続分 ・基礎控除額 ・小規模宅地 |
全60問 ・相続の基礎知識 ・相続税の基礎知識 ・相続税の納付税額の計算 ・贈与税 ・相続時精算課税制度 ・相続対策 ・財産評価と土地対策 ・継対策の基本的考え方と自社株評価のポイント ・相続実務編 |
試験時間 | 60分 | 90分 |
受験資格 | なし | なし |
受験料(税込)※テキスト代も含む | 38,500円(再受験の場合は16,500円) | 88,000円(再受験の場合は16,500円) |
登録代 | 11,000円 | 11,000円 |
月会費 | 1,018円 | 1,018円 |
更新料(2年) | 16,500円 | なし |
合格基準 | 70点以上 | 70点以上 |
情報引用元:https://souzokushindan.com/
相続診断士の合格率は90%以上ですので、難易度はそれほど高くありません。
ただ、まったく無学で受かる試験ではありませんので、それなりに事前学習が必要となります。特に、相続や法律についての学習は専門用語や独特の言い回しが多いため、テキストや模擬問題をしっかりと行うべきでしょう。
協会のサイトから体験版の練習問題を受講することもできます。実際にどんな問題が出題されるか気になる方は、確認が行えます。練習問題はPDFとPC版のどちらからでも実施可能です。
相続診断士の勉強時間の目安は、相続について初めて学ぶ人であれば、3〜6ヶ月。相続関連の職務に就いている人は、1〜2ヶ月程になります。
また、相続診断士の勉強は、自主学習が基本です。協会から送付されたテキストと動画を確認し、試験に備えましょう。動画では、テキストの解説をPCから確認できるIDが送付されます。
そのため、PCが再生できる環境でないとテキストのみで学習しなければいけないので注意しましょう。
相続診断士として働いている方のデータが少ないため、具体的な年収の算出はおこなえません。
しかし、相続診断士の資格を保有しつつ他業種で働いている方の年収から予測することはできます。
たとえば、相続診断士の資格が推奨されている保険業界や不動産業界の年収は400~600万円で、月収は20〜40万円ほどです。
また、相続診断士として個人で独立するのであれば、さらに大きく年収を増やすこともできます。
相続診断士としての求人はほとんどありません。しかし、相続診断士の合格者であることを条件としている会社もあるため、就職や転職の際にはアピールポイントになる可能性があります。
特に、相続を扱っている会計事務所や税理士事務所などでの求人が多いです。
相続診断士のニーズと需要は今後も高まっていくと予想されます。
理由は、超高齢化社会の日本では今後、相続トラブルの増加が見込まれるためです。
さらに、相続税法は短期間で改正を繰り返しています。2015年には相続税の基礎控除額が変わり相続税の納付対象者が2倍以上増加となり、2023年には生前贈与の対象期間が3年から7年間に変更されました。
こうした背景からも相続のスペシャリストである相続診断士の将来性は明るいといえるでしょう。
とはいえ、相続診断士はあくまでも民間資格であり、相続診断も資格がないとおこなえないわけではありません。
そのため、独立を目指すのであれば、より活躍の場が広がる税理士や弁護士、行政書士などの国家資格も検討しましょう。
既に保険業や金融業、葬儀業などに就労されている場合も、現行職種で活用できる知識を得ることと、お客様への満足度を上げるための手段として取得することをおすすめします。
本記事では、相続診断士の役割と業務内容、資格取得方法や求人情報についてご紹介いたしました。
相続診断士の資格取得で、相続についての知識が深まりお客様からの信頼向上にも繋がります。
特に金融機関、不動産業界、葬儀業界など相続問題が発生しやすい業界との相性が良いため、既に就労されている方は資格取得も検討してみましょう。
超高齢化社会の日本で、今後も相続税法は頻繁に変わることが予想されます。一般的に理解しづらい相続についての知識を持つ相続診断士のニーズは今後も高まっていくでしょう。
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