「葬儀業界で接客スキルは活かせる?」
「未経験でも採用してもらえる?」
「接客スキルのアピール方法は?」
実は、飲食や販売、ホテル、美容関係などの接客経験やスキルは、葬儀業界でも大きな強みとなります。
葬儀の仕事は、ご遺族に寄り添い心を込めてサポートする「人」と深く関わる仕事です。
ご遺族と深い信頼関係を築き安心してもらうには、接客スキルは欠かせない能力だからです。
この記事では、葬儀業界で活かせる具体的な6つの接客スキルと、転職時に接客経験をアピールする方法を紹介しています。
葬儀業界に興味のある方はもちろん、接客経験を転職に役立てたい方はぜひ、お読みください。
ホテルや飲食、販売業などで身に付けた接客スキルは、ご遺族の悲しみに寄り添う葬儀業界では必要不可欠な能力です。
以下に理由と特に重要な6つの接客スキルをご紹介します。
葬儀業界で最も役立つ接客スキルが「コミュニケーション能力」です。
葬儀は、ご遺族や参列者をはじめ宗教者や生花業者など、多くの人と作り上げます。
そのため一定以上のコミュニケーションが取れないと、関係者とスムーズな連携がとれません。
相手の立場を理解し、状況に適した対応ができれば、ご遺族や葬儀関係者と深い信頼関係を築け、葬儀の準備を円滑に進められるでしょう。
「傾聴力」は、ご遺族の葬儀での意向を正しく理解するために必要なスキルです。
傾聴力とは、相手の話をただ表面的に受け取るだけでなく、背景にある感情や真意まで汲み取れる能力のことです。
突然のお別れに直面し、悲しみや混乱で要望をうまく伝えられないご遺族も少なくありません。
じっくりと耳を傾け意向を汲み取ることができれば、ご遺族の望む形での葬儀が実現できるでしょう。
「共感力」とは、ご遺族の感情に寄り添い、心情を受け止める力を指します。
感情が大きく揺れる葬儀の現場では、単純なマニュアル対応ではご遺族からの信頼は得られません。
たとえば、ご遺族の心情を無視し無理に元気づけようとしたり、安易に励ますのは逆効果になることもあります。
適切な距離感を保ちながら、必要なときにだけ寄り添う気遣いも大切です。
また、言葉だけでなく表情や仕草を通じて共感の気持ちを伝えることもできます。
相手の状況に合わせて提案する力は、安心感と納得感を生む重要なスキルです。
葬儀では、形式や参列者の人数、費用、日程調整など多くの情報をご遺族に分かりやすく、丁寧に説明して選んでもらう必要があります。
特に、葬儀は専門用語が多いため、初めての葬儀で不安に思っているご遺族も多いです。
ご予算や希望を伺い、最適な葬儀プランを提案できれば、ご遺族の不安を解消し安心して葬儀を任せてもらえるでしょう。
厳粛な場である葬儀では、常に丁寧な言葉遣いが求められます。
発する言葉一つで、葬儀社全体の印象が変わるため、乱暴な言葉や不用意な発言は厳禁です。
適切な敬語と落ち着いた声のトーンやスピードは、ご遺族に安心感を与えると共に信頼や満足感にもつながるでしょう。
言葉遣いと同様に、葬儀業界では清潔で整った身だしなみも欠かせない重要なポイントです。
ご遺族や参列者に不快感を与えず、プロとしての信頼感を示すためにも、身だしなみには特に注意しましょう。
接客業で意識してきた「見た目への配慮」は葬儀業界でも十分活かすことができます。
葬儀業界では接客経験やスキルは大きな武器になります。ただし、接客経験があるからといって必ずしも採用につながるとは限りません。
接客経験を最大限に活かすアピールポイントを3つご紹介します。
接客スキルをアピールする際は、具体的で分かりやすいエピソードを伝えるのが効果的です。
たとえば「接客が得意です」だけでは、説得力にやや欠けます。
「前職では、お客様のご要望を汲み取り大変喜ばれた」
「クレームにも真摯に対応した結果、信頼回復につながった」
など、具体的なストーリーで説明すれば、あなたの傾聴力や提案力を伝えやすくなります。
特に葬儀業界は「人柄」や「信頼感」が強く問われる業界です。
これまでの接客経験を葬儀業界でどう活かせるかアピールすることで、未経験者でも高く評価されるでしょう。
接客経験が、葬儀業界で即戦力として活かせることをアピールしましょう。
「マナーや接客スキルには自信があります」ではなく、
「ホテル業界で身に付けたマナーや接客スキルを活かし、ご遺族に信頼と安心感のある対応をしたいです」
「前職で培ったコミュニケーション能力は、お客様対応にすぐに活かせると考えています」
など、未経験でも現場で活躍できることを伝えられれば、即戦力として期待してもらえるでしょう。
葬儀業界は、宗教や地域ごとの作法や風習など専門性が高く、覚えるべき知識がたくさんあります。
そのため、未経験者であっても学ぶ意欲がある方は高く評価されます。
たとえば、
「御社で経験を積み、3年以内には葬祭ディレクターの資格を取得したいです」
「葬儀業界は未経験ですが、一から丁寧に知識を学んでいきたいです」
など、積極的に学ぶ姿勢をアピールすることで、学ぶ意欲を評価してもらいやすくなります。
葬儀社での仕事は、ご遺族との打ち合わせから葬儀の準備、進行と多岐にわたります。
業務内容は多いですが、一人ですべて行うわけではありません。各担当者やチームで役割を分担し協力して進行します。
主な仕事内容は以下になります。
内容 | 詳細 |
---|---|
お迎え・搬送 |
・病院や自宅から故人を搬送する ・搬送車(寝台車)の手配・運転 |
打ち合わせ・プラン提案 |
・ご遺族との打ち合わせ ・葬儀プラン、日程、予算、式場などの提案 ・祭壇、会葬礼状、返礼品などの手配 |
式場・斎場準備 |
・斎場や受付の設営 ・供花や祭壇、備品(お位牌、骨壺など)の手配 ・宗教者(僧侶、神父など)の手配 ・通夜振る舞いや精進落としなどの食事の手配 |
通夜・葬儀の進行管理 |
・参列者やご遺族のご案内 ・通夜・告別式の司会進行 |
葬儀後のアフターフォロー |
・香典返し、納骨、法要の案内 ・役所への死亡届や手続きのサポート ・供養や仏壇・墓地の相談対応 |
葬儀に携わる職業も、葬儀の司会進行を行う葬祭ディレクターや、ご遺体を清める納棺師(湯灌師)とさまざまです。
それぞれ異なる役割を担い、互いに協力しながら葬儀を支えています。
以下に代表的な職種と仕事内容をご紹介します。
職種 | 仕事内容 |
---|---|
葬祭ディレクター | 葬儀の企画・運営を担当し、当日の進行をスムーズに行うために全体を取りまとめる役割を担います。 |
セレモニースタッフ | 葬儀当日に会場の準備や参列者の案内、ご遺族のサポートを行い、葬儀が滞りなく進行するようにします。 |
納棺師 (湯灌師) | 故人のお体を清め、身支度を整えた上で丁寧に棺に納め、送り出す「納棺の儀式」を行います。 |
エンバーマー | 事故で損傷が激しいなどのご遺体を、生前の姿に近づける処理を行います。 |
生花祭壇作成 (フラワーディレクター) |
葬儀場での生花祭壇の作成や装飾全般に携わる仕事を行います。 |
※職種をクリックすると、詳細記事を確認できます。
葬儀業界の平均年収は250〜600万円で、未経験で転職した場合は250〜300万円ほどです。
担当する業務内容や会社の規模、地域、雇用形態によって金額は変わります。
厚生労働省が調査した「令和4年度賃金構造基本統計調査 」によると、冠婚葬祭業の平均年収は382万円ですので、標準的な金額と言えるでしょう。
年収を上げるには、経験を積む以外にも葬祭ディレクターなどの資格を取得すれば、年収アップが目指せます。
葬儀業界の仕事は今後、ますます需要が増えると予想されています。
2025年現在の日本の総人口は、約1億2,300万人です。
65歳以上は約3,600万人で人口の約29%、75歳以上は約2,100万人で人口の約17%を占めています。(情報出典元:人口推計 2025年(令和7年)3月報)
高齢者の増加と共に死亡者も増え、葬儀のニーズは増えていくと予想されます。
実際に2021年に47万件だった葬儀取扱い件数は、2024年には50万件と増加傾向です。(情報出典元:調査の結果|特定サービス産業動態統計調査(METI/経済産業省))
需要拡大と共に、葬儀業界での人手不足も深刻化しているため、未経験者や他業種からの採用も積極的に行われています。
一方、課題として葬儀単価の低下も問題視されています。
少人数の家族葬や直葬の普及によって1件あたりの売上は減少し、葬儀業界全体の売上高も減少傾向にあります。
今後は、人材確保と収益確保が葬儀業界の課題になるでしょう。
接客業で身に付けた接客スキルは、葬儀業界で働く上で強い武器になります。
葬儀の仕事は技術や知識よりも、ご遺族の心に深く寄り添うことが求められる業界のためです。
特に、コミュニケーション能力や傾聴力、共感力、提案力、丁寧な言葉遣い、身だしなみの6つの接客スキルは、ご遺族や葬儀の関係者と信頼関係を築くために役立ちます。
たとえ葬儀業界が未経験でも、接客スキルを採用担当者に上手くアピールできれば、即戦力としての活躍を期待してもらえるでしょう。
昨今、少子高齢化の影響で葬儀の需要は、今後ますますの拡大が見込まれます。
接客経験を活かし、人生の節目となる葬儀を支えたい方は葬儀業界への転職をぜひご検討ください。
© スマート葬儀ジョブ All Rights Reserved.